東京六大学野球連盟、創設 100 年を迎える
東京六大学野球連盟は今年、創設 100 年を迎える。3 月 2 日には審判練習会が行われ、現役アンパイアにアドバイスを送る審判技術顧問の存在など、伝統を受け継いでいる。

東京六大学野球連盟、創設 100 年を迎える
東京六大学野球連盟は今年、創設 100 年を迎える。1925 年秋から 6 校によるリーグ戦を展開し、6 校の OB 会から派遣された審判員、公式記録員など、出身大学の卒業生で運営されている。ともに手を取り合う「共存共栄」の意識が高い。リーグ戦はゲームを進行する審判員と、加盟 6 校の信頼関係は強固である。
審判技術顧問の存在
3 月 2 日、審判練習会が行われた。2025 年は慶大が輪番制である 6 年に 1 回の当番校で、同大学のグラウンドを会場にして行われた。午前 9 時に集合し、まずは座学。ルール改訂、アマチュア内規、連盟内規などを確認した。その後、グラウンドへ移動し、ジェスチャーの基本動作(アウト、セーフ ほか)、投球判定(ストライク、ボール)、実戦を想定したフォーメーションなど、約 4 時 30 分にわたって中身の濃いメニューが組まれた。
100 年の歴史を感じたのは、審判技術顧問の存在である。かつて審判員として活躍した先輩が指導員として、現役アンパイアにアドバイスを送る。同連盟役員であり、1 プレー 1 プレーに目を光らせているのが印象的だった。伝統を一つひとつ、つないでいるのである。
明大 OB の山口智久審判員は言う。「審判技術顧問からの助言は大きいです。言葉の一つひとつに重みがあります。審判員とは経験値がものを言います。審判スキルも大事ですが、心構え、失敗談を聞くことも大事。我々の中では 1 回、ミスしたことは 2 度と間違えてはいけないという教えがあります。一生懸命プレーする選手たちに応えるジャッジ。しっかりと、心に刻んでいるつもりです」
山口審判員は大学野球のほか高校野球、社会人野球、国際大会と多くの場を踏んできた。「現場目線」がポリシー。審判員と両チームで試合を組み立てていく、温かみが随所に見られる。攻守交替のイニング間に「さあ、行こう!」と号令するのは、名物シーンである。
53 歳はキャリア十分で、ベテランの部類に入るが、この日も多くの気づきがあったという。何しろ、審判練習会のグラウンド内で、最も声を発していたのは山口審判員だった。気持ち良さそうに汗をぬぐってこう言った。「大きな声と、大きなジャッジ。若手、ベテランも関係ありません。ゲームをマネジメントしていく上で、雰囲気づくりを大切にしています。先輩方からは『(審判員が)目立つな』とご指導をいただいたこともありますが、時には選手を鼓舞して、私はプレーヤーとともに試合進行をしていきたいと考えています。この日の練習会も、いかに試合と同じ空気感を生み出すことが大事。手伝っていただいた慶應の選手たちにも、プレーに集中できる声がけをしたつもりです。練習の練習では意味がありません。あくまでも、私たち審判員にとっても試合のための練習です。良い判定ができる機会になったと思います」