大相撲春場所での新三役昇進が確実視される幕内・王鵬が抱く野望

幕内・王鵬が大相撲春場所での新三役昇進を確実視され、自身の野望を語る。

幕内・王鵬(25)は、大相撲春場所(3月9日初日・エディオンアリーナ大阪)での新三役が確実視されている。1月の初場所では自己最多の12勝を挙げ、V争いにも加わった。しかし、千秋楽の優勝決定ともえ戦で横綱に昇進した豊昇龍(25)に敗れ、初賜杯を逃した。

王鵬は、初場所のV逸から1か月近くがたっても、苦い記憶は鮮明だ。千秋楽では、1差でトップだった幕内・金峰山を引きずり下ろし、優勝決定ともえ戦に突入。だが、豊昇龍に寄り倒されて初賜杯を逃した。

王鵬は、平幕で躍進した事実が脳裏に残ったまま、土俵に上がっていた。当時の支度部屋では「少し充実していることに腹が立っている」と複雑な心境を明かしていたが、今は春場所での雪辱しか頭にない。

「もう充実感はないですね。来場所に向かっています。あれで悔しくないなら、辞めた方が良いと思います。先場所の相撲を再現しないといけないが、僕もまだ若いですし、もう一個上を目指してやっていく」

王鵬は、初優勝を最後まで争ったことで、改めて横綱・大鵬の偉大さを知った。幼少期から祖父の出身地、北海道・弟子屈(てしかが)町にある「大鵬相撲記念館」を訪れ、館内に掲げられた32枚のレプリカ優勝額を見てきた。「最初に相撲をかっこいいと思ったのがおじいちゃんの姿」。憧れとともに、大きな背中を追ってきた。

「優勝を32回もしていて。それを考えたらとんでもない気力だと思います」

パワーあふれる突き、押しで先場所は自己最多の12勝。初の三賞となる技能賞もつかんだ。確かな手応えとともに、大相撲ファンに強烈な印象を残した。

「自分の頭の中で、できると思っていたことができるようになってきた。しっくりきだした感じです。先場所は特に、楽な形で前傾姿勢で体重が乗っていた」

力士として、いいと思ったものは積極的に取り入れてきた。埼玉栄高時代からトレーニングの一環としてランニングを行い、入門後も合間を見つけては走る。支度部屋では立ち幅跳びのようなウォーミングアップ。191センチ、180キロの恵まれた体格で俊敏にジャンプを繰り返す。

「体重があるから『走ること、跳ぶことは仕方ないね』という風潮が嫌い。大相撲も神事だけでなく、スポーツという面が強くなっている。ウェートトレーニングやサプリメントも取ります。(ただ体を大きくするだけではなく)人間らしい生活もしっかりできるようにと思っています。(体重が)180キロあっても、140キロの頃と同じような動き、それ以上の動きを心掛けています。でも、ダッシュはちょっと遅くなりましたね」

25日には春場所の番付発表が控えている。新三役昇進が期待される。今は初場所の悔しさを糧に、猛稽古あるのみだ。

「楽しみに待っていますけれど、(発表までは)何があるかわからないので。役力士という立場は、守るものが増える。けれど、土俵上で守る相撲を取ってもつまらない。しっかり攻めていく相撲を取っていければと思います」

時として祖父と比較される。看板力士としての重圧もかかってくるが、王鵬は攻めの姿勢を貫く覚悟だ。

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