照ノ富士親方、寄贈土俵で少年相撲クラブ発足
大相撲初場所で引退した照ノ富士親方が神奈川県横浜市の新横浜公園に寄贈した相撲場で、小中学生対象の少年相撲クラブを発足させた。

照ノ富士親方、寄贈土俵で少年相撲クラブ発足
大相撲初場所で引退した照ノ富士親方(元横綱)が22日、神奈川県横浜市の新横浜公園で、寄贈した相撲場お披露目式に出席した。完成を喜ぶとともに、同相撲場をホームに小中学生対象の「伊勢ケ浜部屋横浜相撲クラブ」の発足を明らかにした。
親方は「協会の看板力士を育てる。相撲人口を増やす。この二つに専念してやっていく」と誓った。同クラブは横浜市が運営に携わり、幕内阿武剋を輩出した同県旭丘高校の岸田光弘監督が指導にあたる。
費用は後援会を中心に自身のポケットマネーも加えて全額を負担。日産スタジアムに隣接する中央広場に、公式大会が開催可能な土俵と鉄骨造りの屋形が完成した。今回が初の土俵寄贈で「全国でつくっていきたい。自分一人ではできないので、いろんな地域、協力を通じてやっていければ」と意欲を燃やした。
土俵第2弾も進行中と明かした。一方で「ただ土俵を設置しただけでは何も生まれない。子どもたちが集まる相撲クラブとして(地域との)関係性、教える先生が協力してくれないと」とも語った。土俵新設以上に、その活用を重視している。
現役時代から相撲人口の減少を「いつからかは覚えていないが、皆が気付いているのでは。年々減っている」と心配してきた親方。改めて「自分一人ではできないので、いろいろな地域、協力を通じてやっていければ」と強調した。
この日の式典では、横浜市の山中竹春市長らとともにテープカット。ちびっこ相撲、部屋付き親方として指導する伊勢ケ浜部屋力士と高校生による稽古を、興味深そうに見つめた。
式のあいさつでは観衆に「子どもたちを連れてきて、この土俵で相撲に触れ合う機会をつくってくれたらうれしい」と呼びかけた。そして「子どもは親が言わない限り相撲をやらないわけなんで。皆さん、無理やりにでも最初は連れてきていただいてて、相撲に興味を持ってもらいたい」とジョークを交えて、笑いを誘った。
照ノ富士親方は今年7月に伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が定年を迎えた後、部屋の継承が有力視されている。4月から本格始動する「伊勢ケ浜部屋横浜相撲クラブ」。横浜以外の地名が増える度に、有望な新弟子候補が全国に増えていくのだろう。
照ノ富士親方が掲げた「協会の看板力士を育てる」「相撲人口を増やす」という目標。「この土俵、横浜から、将来の関取、大関、横綱が誕生することを期待します」という言葉は、単なる定型文に思えなかった。