テニス界のドーピング問題に選手たちから不信感
ヤニック・シナーとイガ・シフィオンテクのドーピング問題の処理について、選手たちから懸念の声が上がっている。

テニス界のドーピング問題に選手たちから不信感
注目が集まっていたヤニック・シナーとイガ・シフィオンテクのドーピング問題の処理について、選手たちから「プロセスが完全に破綻している」「あまりにも怖い」といった懸念の声が聞こえてきている。
長きにわたるドーピング問題が 15 日に決着し、シナーはクロステボール(clostebol)の痕跡が検出されたことの責任を部分的に認め、3 か月の出場停止を受け入れた。これを受けて世界反ドーピング機関(WADA)はスポーツ仲裁裁判所(CAS)への異議申し立てを取り下げた。
一方でシフィオンテクは昨年末、禁止されている狭心症の治療薬トリメタジジン(TMZ)に陽性反応を示したことで、1 か月の出場停止を科された。
これに対して、昨年の全米オープンのファイナリストで、WTA 選手協議会の一員でもある世界ランキング 5 位のジェシカ・ペグラ(米国)は、問題の処理の仕方と裁定に一貫性がなく、選手にとって不公平な環境が生じていると主張している。
「彼がやったと思うかどうか、どちらの側に立つかに関係なく、プロセスがまったく形を成していないように思える」と語ったペグラは、「処分についても、判断材料についても、自分たちで勝手に決めているように見える。そんな風に一貫性がない以上、選手にとって公平なプロセスとは到底思えない」と話した。
「クリーンかそうでないかといった話ではなく、プロセスが完全に破綻している」「真剣に見直す必要があると思う。彼らは選手のキャリアを台無しにするほどの力を持っているとも感じる。何か手を打つ必要があると思うし、すごく不公平に見える」
女子世界 1 位のアリーナ・サバレンカも、シナーの処分についてはコメントしなかったが、スポーツ界の厳しい反ドーピング規則に違反しないよう、細心の注意を払うようになったと話している。
「もっと注意深くなるしかない。例えば、以前ならレストランで水のグラスを置いてトイレに行くことを気にしなかった。今は帰ってきたらそのグラスの水は飲まない」
「いろいろなことにもっと気をつけるようにしている。誰かがクリームを塗って、それで自分から陽性反応が出たら、みんなに追及されて信じてもらえなくなる場面が思い浮かぶ。そういうシステムがあまりにも怖いし、そういうものをどう信用したらいいか分からない」