朝乃山、206 日ぶりの稽古で復活を誓う
大関経験者の幕下朝乃山が、206 日ぶりに相撲を取った。左膝前十字靱帯断裂などの大けがからの復活を目指し、三段目から再起を誓う。

幕下朝乃山(30=高砂)が、復活に向けて 206 日ぶりに相撲を取った。8 日、都内の部屋で、主に三段目相手に相撲を取る稽古を再開。連続 9 番取って全勝と、実力健在を示した。
昨年 7 月 17 日の名古屋場所 4 日目、一山本戦に敗れた際に左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがに見舞われた。それ以来の相撲に「やっぱり相撲を取るのは楽しい」と充実感を漂わせた。春場所(3 月 9 日初日、エディオンアリーナ大阪)で、三段目からの再起を目指す。
パワーもスピードも、三段目相手には別格だった。大けがを負って以来、朝乃山は松葉づえを使い、歩くのも困難な状況に陥った。そこから地道なリハビリ、四股などの基礎運動、筋力トレーニングを経て、ついに相撲を取る稽古を再開。
9 番連続取って全勝のまま土俵を降り、稽古後は「やっぱり相撲を取るのは楽しい。取っているうちに、だんたん楽しくなってきた」と、笑顔で声を弾ませた。
「半年ぶりなので最初の一番は緊張した」と振り返った。その最初の一番は自身よりも大きな 189 センチ、180 キロの朝大洞を組み止め、難なく寄り切った。逆に 169 センチ、90 キロ と小柄な朝気龍のスピードにも素早く対応。突き、押しで土俵外に追いやった。
「朝気龍が入門した時には僕は関取だったので、相撲を取るのは初めて。稽古の目的の 1 人だった」と、速い相手に装具を着けた左膝も対応できて自信を深めた。初めて胸を借りた朝気龍は「クマに見えた。化け物」と、驚異的な圧力に舌を巻いた。
相撲を取る稽古の後は、同じく大けがして以来、初となる長めのぶつかり稽古で砂まみれになった。自身の付け人だった幕下朝白龍に「お願いします」と謙虚に頭を下げた。プライドなど捨て、1 日でも早く強さを取り戻すために努めた。
「もう 1 度、上(幕内)に戻りたい。これがラストチャンス」。左膝の確実な回復を確認し、悲壮な決意で復活に挑む。