中山牝馬 S 回顧:シランケドが重賞初制覇
中山牝馬 S で昇級初戦のシランケドが初勝利をあげ、2 着ホーエリート、3 着クリスマスパレードで決まった。レースは息の入らない展開となり、持続力勝負に。

中山牝馬 S 回顧:シランケドが重賞初制覇
2025 年中山牝馬 S は昇級初戦のシランケドが 2 度目の重賞挑戦で初勝利をあげ、2 着ホーエリート、3 着クリスマスパレードで決まった。
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ハンデ戦らしく最軽量 51kg ペイシャフラワーが宣言通り逃げを打ち、内枠の先手候補コンクシェルが控え、クリスマスパレードとセキトバイーストが好位確保と、隊列はさほどもつれずに決まった。
前半 400m は 12.6-12.0。1 コーナーまで距離がない中山芝 1800m で早めに隊列が決まれば、ハイペースはない。しかし、1 コーナーから向正面にかけて 11.9-11.7-11.4 とペイシャフラワーはペースを落とすことができず、全体として息の入らない形で進んだ。
大逃げでもなく、クリスマスパレード以下、好位勢もつかず離れず追走。ラップ が落ちなくても隊列は縦に伸びない。どの馬も色気があり、前への意識が強かったためだろう。
後半 800m と 11.8-11.8-11.8-12.1 とピッチは上がらず、中山中距離特有の切れ味を求めない持続力勝負になった。こうなると適性がモノをいう。
勝ったシランケドは 3 戦目の未勝利戦から 4 着以下がない堅実性に加え、この手の持続力勝負を得意とする。
思えば紫苑 S も今回と似たようなラップ 構成になり、0 秒 3 差 3 着と健闘していた。2 勝目は小倉でマクリを決め、3 勝目は福島で番手から早め先頭と、勝ちに行く競馬で得意パターンに持ち込んだ。
オープン入りを決めた新潟の魚沼 S は外回り芝 2000m で上がり 600m33.0 を記録したが、これは秋の新潟開催後半戦の荒れた芝でのもので、瞬発力よりも持続力のイメージが強い。これは父デクラレーションオブウォーの特性でもある。
父デクラレーションオブウォーの特性
デクラレーションオブウォーは現役時代、イギリスで 8 ハロン のクイーンアン S や 10.3 ハロン のインターナショナル S を勝った。ダンチヒ系の父ウォーフロントはダート 6~7 ハロン で活躍した米国産快足馬で、母系にはラーイ、ゴーンウェスト が配され、血統表の奥にはレッドゴッド、ヘイロー、ミスタープロスペクター、ニジンスキー と北米の持続力血統の名血が入る。
デクラレーションオブウォーが伝える小回りでの持続力勝負での強さでサンデー系の瞬発力に対抗するには、前を支配し、先に動いて瞬発力を消すよりほかにない。トップナイフ、セキトバイースト、セットアップ などはイメージしやすい産駒といえる。
一方、シランケドは少頭数なら前につけられるが、そうでないと前に行けない不器用な面もある。ゲートが遅く、途中から動く形は消耗が激しく、自らも傷つけてしまう。悩ましい状況をじっくり育てた陣営のケアも見逃せない。
シランケドが前から粘る形でなくとも持続力を発揮し、差しきることができたのは母系の力もある。
母の父はディープインパクトであり、母がサンデー系を伝え、差す競馬を可能にしている。母フェアブルームの母ビーフェアーはブラジル GⅠ3 勝の名牝であり、フェアブルームは一時流行ったディープインパクト×南米血統になる。この組み合わせはディープの軽さに持続力を注入し、成長力を伝える。
シランケドに宿る“差せる持続力”は、底力を問う大舞台でこそ輝く。5 歳シーズンで飛躍を誓う。