川和・浜岡蒼太投手、「155 キロ&高卒ドラ 1」へ恩師と二人三脚
川和の浜岡蒼太投手は、最速 144 キロの直球と鋭いカットボールを武器に、今秋のドラフト候補として注目を集めています。

偏差値 68 の進学校である川和(神奈川)の最速 144 キロ左腕・浜岡蒼太投手(2 年)は、横浜、慶応、東海大相模など強豪ひしめく神奈川で公立の星として輝いています。浜岡は小さい頃から「自分は絶対にプロ野球選手になる」と疑わないでいました。田奈中時代に川和の見学に訪れ、当時は部長だった平野太一現監督と出会った日を忘れないでいます。「中学の時から高卒でプロに行くと決めていた。いろいろな高校から声をかけてもらったんですけど、平野先生に“全力で夢を応援する”って言ってもらえた。自分の次に夢を信じてくれる人が平野先生だと思った」。浜岡はプロ野球選手になるために川和にやってきました。「エースとして甲子園に連れて行くこと」が目標に加わりました。中学時代の浜岡が出会いを忘れていないように、平野監督もはっきりとその日を覚えています。「浜岡はバッとノートを広げて、そこには 30 個以上の質問が並んでいました。今、考えると佐々木朗希君(ドジャース)がメジャーに挑戦する時、複数球団に対し面談で質問をしましたが、それのミニチュア版みたいなもんでしょうか」。浜岡がした質問は「プロ野球選手になるための指導をしてもらえるか」という軸がありました。中学時代の最速は 130 キロ前後で、制球力に難があり、けん制など走者との駆け引きを苦手としており、越えるべき壁は多かった。それでも高校では「155 キロを投げ、ドラ 1 で NPB に入る」と目標に掲げました。入学する直前の 22 年 12 月から指揮官に就任した平野監督との二人三脚の日々が始まりました。浜岡が真に投手となるため、平野監督は目標の「155 キロ」を因数分解しました。球速を追い求める姿勢を肯定した上で「アッパー(最速)を上げることは大事。それは 8 割で 145 キロを投げるためのアッパーであり、投球の幅を広げるためのアッパー」と説きました。目的と手段を明確化させた上で、けん制や打者との駆け引きなどを向上させ「投手浜岡」の完成度は増しました。昨秋の神奈川県大会では「ジャイアントキリング未遂」を演じ、知名度は急上昇しました。浜岡は強豪・東海大相模との 3 回戦に先発し、8 回 2/3 を 3 失点の好投。9 回サヨナラ負けを喫するも、昨夏の甲子園に出場したメンバーを残す強豪を崖っ縁まで追い込みました。打者を詰まらせる鋭いカットボール、同じ直球でも打者に応じて球速帯を変える投球術が光りました。6 日、本紙の取材に進路をプロ一本に絞ったことを明らかにしました。誰もが知る大学の野球部から誘われたが「自分が大学に行って“何がやりたいか”と考えると結局野球。野球の職に就きたいので(高校卒業後)一番良い環境で野球をやれる方がいい」と迷いはなかった。23 年夏は慶応が甲子園優勝を果たし、昨秋は横浜が明治神宮大会で優勝するなど高校野球の中心の一つを担う神奈川で「圧倒できるピッチャーになりたい。最後は横浜を自分が抑えて勝つことが目標」と浜岡。ビッグマウスを実現できる実力を備えています。