栃木ダービーの未来を考える:Jリーグの新たな挑戦とファン文化の重要性
栃木ダービーを通じて、Jリーグの新たな挑戦とファン文化の重要性を探る。日本独自のスポーツイベントの在り方を考える。

2025年7月26日、栃木シティは栃木SCとの栃木ダービーに0-1で敗れ、本拠地での初黒星を喫した。唯一のゴールはオウンゴールという形で決まり、FW田中パウロ淳一は「僕のクリアーミスで負けてしまったのが痛い」と唇を噛んだ。
この日は朝からスタジアムの入り口に栃木SCのファンが栃木シティを侮辱するような張り紙を張るなどの問題が起き、田中もSNSで反応していた。世界中で行われている同じ町の2つのクラブが対戦するダービーでは、様々な盛り上がり方を見せるが、『栃木ダービー』の在り方について田中は自身の考えを語った。
「栃木シティはJリーグ参入組ですし、J1のダービーなどと比べてはいけないと思います。新規のお客さん、初めてくる人、サッカーを知らない人が来やすい環境にしてあげることが、僕たちの目標です。スタジアムも、選手により近いところで臨場感がすごくありますが、それだけに言葉の使い方も重要になると思います。ほかの誰でも見やすい、栃木県に誕生した新しいイベントとして確立してほしい」
「ちょっと一部に過剰な人がいましたが、別にSCが悪いとかではなく、海外に憧れている人が理解はできますが、ここは日本ですし、J3なので、日本の方が見に来やすい環境を絶対に作るべき。海外とは文化の違いとか歴史も違うので、より日本が強くなることを考えたら、みんなの思い、サッカーを知らない人たちからも応援して、見に来たいと思われるようなイベント、興行にしないといけないと思います。殺伐としたダービーは、海外に任せるくらいでもいいと思います」と、Jリーグに誕生した最新のダービーについての持論を述べた。
試合後にはピッチにうずくまり、GK相澤ピーターコアミとDF奥井諒に起こされるまで立ち上がれなかった。その時の思いについて「僕たちのチームのファンは、負けた後の試合後もブーイングをせずに『次、勝てば大丈夫』と言ってくれるからこそ、非常に胸が痛いところがありました。より不甲斐なさと悔しさを感じているので、絶対にこれをバネに、今年中にJ2に昇格することでみんなに恩返ししたいです」と、今季は返すことができなくなったダービーでの敗戦の悔しさを、昇格へのエネルギーにすると誓った。
栃木ダービーは、日本サッカー界における新たな挑戦の象徴である。ファン文化の重要性を再認識し、日本独自のスポーツイベントの在り方を模索することが求められている。