【フェブラリーS・先手必勝】石橋脩とタガノビューティーが熱いエスコートで記録更新へ
今年のフェブラリーSでは、古豪タガノビューティーが落馬明けで出走。陣営からの激励と信頼に応え、石橋脩との熱いエスコートで記録更新を目指す。

主戦・石橋脩がタガノビューティーを熱烈エスコート
[GⅠフェブラリーステークス=2025年2月23日(日曜)東京競馬場、ダート1600メートル(4歳上)]
2025年のGⅠ開幕を告げる砂王決定戦、第42回フェブラリーS(23日=東京ダート1600メートル)が今週末に迫った。波乱上等の当欄が主役に指名するのは、昨年のJBCスプリントで7歳にしてGⅠ(JpnⅠ)初勝利を挙げた古豪タガノビューティー。落馬→競走中止明けになるが、陣営からかけられた“アツい言葉”に、鞍上・石橋が奮い立たないわけがない。
上半期のJRAダート王決定戦として行われるフェブラリーS。しかし、近年は開催時期の近いサウジアラビア、ドバイの国際招待競走に挑戦する馬も増えており戦力が分散傾向にあるのが実情だ。昨年、3連単150万円オーバーのビッグ配当が飛び出したのも、前年の勝ち馬レモンポップがサウジC参戦で不在だったことがその一因に挙げられよう。
今年、連覇を狙うペプチドナイルこそ出走してきたが、レモンポップ級の絶対的主役は見当たらない。となれば“攻める”のみ。ベテラン、タガノビューティーのJRA・GⅠ初戴冠に期待する。7歳終盤で臨んだ昨年11月のJBCスプリントにおいて悲願のビッグタイトルを獲得するなど、加齢による衰えはまったくなし。管理する西園正調教師も「2歳からここまでずっと息の長い活躍を見せてくれている。本当に頭の下がる思いだね。東京は実績のある舞台だし、勝つ競馬をして古豪の意地を見せたい」。老いてますます盛んな愛馬に最敬礼しつつ、全8勝のうち5勝を挙げる得意コースでの頂点制覇に力を込める。
唯一の懸念材料は前走・根岸Sで落馬した影響か。しかし、こちらについても指揮官の次の言葉を聞けば心配無用だろう。
「おかげさまで脚元もきれいで、状態はすごくいい。(石橋)脩にも“ここもお前が乗らなきゃ誰が乗るんだ”って言っておいたよ」
19年8月のデビュー以降、キャリア全39戦中、実に30戦でコンビを組んできたパートナーに対する愛ある叱咤と信頼――。ジョッキーならこの激励に気持ちが盛り上がらないわけはないだろう。いわばアクシデントを経験して絆はさらに深まったと言えようか。前走時には陣営から「良過ぎるくらい元気がいい」との声が聞こえており、形はともあれ競馬に“参加”したことで、一定のガス抜き効果も期待できるはずだ。
振り返れば、昨年の当レースもまとめて差し切ろうかという伸び脚で力を示し、見せ場十分の4着に奮闘。サンデーファンデー、ミトノオー、ヘリオス…前に行く馬多数の今年、前半3ハロン33秒9のハイペースを刻んだ昨年に続いて差し馬向きの流れになればビッグチャンスが訪れる。
GⅠ昇格後のフェブラリーSにおける最高年齢Vは昨年のペプチドナイルなどが記録した6歳。沈まぬ走りを見せ続ける8歳馬がその記録を塗り替えて、ラストランでダート界に名前を刻み込む。