高校野球審判のメンタル強化と技術向上:三重大会に向けた特別講習会
三重県高校野球連盟が主催する審判講習会で、審判員のメンタル強化と技術向上を図る特別プログラムが実施されました。

2025年6月8日、三重県伊勢市のダイムスタジアム伊勢において、三重県高校野球連盟(県高野連)主催の審判講習会が開催されました。この講習会は、第107回全国高校野球選手権三重大会に向けて、審判員の技術とメンタル面の強化を目的としています。
メンタル研修の導入
今回の講習会では、初めてメンタル研修が導入されました。講師を務めたのは、21年間にわたり夏春の甲子園大会で審判を務めたスポーツメンタルトレーニング指導士の西貝雅裕さん(59)。西貝さんは、審判員が適度な緊張感を保ちながら正確なジャッジを下すための心理的なアプローチを指導しました。
西貝さんは、「リラックスしすぎても、極度に緊張しても、最高のパフォーマンスは出せない」と指摘し、審判員が自分自身の緊張度を信号の色(青・黄・赤)に例えてコントロールする方法を提案しました。特に、試合の決定的な場面では「黄信号」の状態で集中力を高めることが重要だと強調しました。
実技講習の実施
講習会では、審判員たちがグラウンドで実技講習に臨みました。具体的なジェスチャーや、打撃妨害時の対応など、実際の試合で必要な技術を確認しました。宇治山田高校と宇治山田商業高校の野球部員が協力し、実践的なシミュレーションを行いました。
県高野連審判部の堤長功部長(60)は、「炎天下での心理状態の維持や誤審を防ぐための貴重な話を聞くことができた」と講習会の意義を強調しました。
新人審判員のデビュー
今年度、三重県高校野球連盟審判部には2人の新人審判員が加わりました。田中礼雅さん(19)と森川優人さん(18)は、ともに高校野球の経験者で、今春に高校を卒業したばかりです。田中さんは昨夏の甲子園大会で菰野高校の控え捕手としてベンチ入りし、森川さんは白子高校の元一塁手です。
田中さんは、「野球部を引退後は目標を失い、生活に張りがなくなった。高校野球にかかわり続けたい」と審判を志しました。森川さんは、「試合で審判が声をかけてくれたのがうれしかった。今度は自分が高校野球を支えたい」と意気込みを語りました。
両名は、約1年後に公式戦の審判としてデビューする予定です。