横浜高のエース奥村頼人、松坂世代以来の秋春連覇を目指す決意と成長
横浜高のエース奥村頼人が松坂世代以来の秋春連覇を目指す中、彼の成長と決意を紹介。

横浜高のエース奥村頼人、松坂世代以来の秋春連覇を目指す決意と成長
2025年の選抜高校野球大会で、横浜高(神奈川)は19年ぶり4度目の優勝を果たし、昨秋の明治神宮大会と合わせて秋春連覇を達成しました。これは1997~98年の松坂大輔世代以来の快挙です。
エース・奥村頼人投手(3年)は全5試合に救援登板し、準々決勝の西日本短大付(福岡)戦では、3者連続三球三振で流れを引き寄せるなど、春制覇にはなくてはならない存在でした。
転機となった試合
昨秋の秋季関東大会準決勝の浦和実(埼玉)戦で先発するもピリっとせず、2回1安打2失点。その日の夜、指揮官はエースを呼んで思いの丈を吐露しました。
「このままじゃ(1番を)織田に取られるぞ。俺も信頼できない。最後は技術ではなく信頼関係。1年多く一緒にやっているから。1番になってほしいという意味で付けさせているよ」
指揮官から告げられたエース降格の危機。それもライバルの〝怪物・織田〟を引き合いに出された。これ以上ない悔しい出来事でした。
冬の練習と成長
この冬は、毎日早朝練習に出ました。高山大輝部長(33)がノックバットを手に持ち、受け手が左右に振られるアメリカンノックやバント処理で、懸命に白球を追いました。「日々の積み重ねというか、何かやってきたという自信を付けさせるため」と部長。心身ともに追い込んだ冬を越えて、春の聖地で躍動。指揮官も「(1番を)自分のものにした」と舌を巻きました。
選抜決勝の智弁和歌山戦
選抜決勝の智弁和歌山戦も先発・織田が5回⅓を1失点。2番手・片山から3番手・奥村頼とつなぎ、そのまま優勝を迎えるはずでした。だがエースは八回に9点の大量リードに隙ができたのか3安打を浴びて2失点。たまらず4番手・山脇にスイッチして、奥村頼を左翼へ向かわせました。
11-4の九回、村田監督はあえて奥村頼を胴上げ投手にはさせませんでした。「もう1つしっかりと投球して、締めてほしかった。最後マウンドに上げたら奥村頼の成長は無くなってしまう」。指揮官なりの愛のムチでした。試合後には、「夏、あの場面で最後マウンドを譲らない投手になれ」と伝えました。
夏への決意
「自分がもっと活躍しないと、(夏に)優勝はできないと思う」。左翼のポジションから見た歓喜の瞬間は、うれしさと同時に夏へのスパイスとなりました。勝負の夏まで約3カ月。エースが更なる成長を遂げれば、松坂世代以来の春夏連覇も現実的なものとなります。