U-20 日本代表、“勝てば世界切符・負ければ解散”の大一番イラン戦へ

U-20 日本代表が“勝てば世界切符・負ければ解散”の大一番イラン戦に臨む。チーム結成以来最大の決戦で、選手たちは緊張感と向き合いながら勝利を目指す。

U-20 日本代表、“勝てば世界切符・負ければ解散”の大一番イラン戦へ

AFC U20 アジアカップの準々決勝を前に、U-20 日本代表の団長を務める山本昌邦ナショナルチームダイレクターは、「負けたら終わりのこの試合。でも、一番選手を成長させてくれる。この試合でやれるのがホンモノなんです」と語った。

U-20 ワールドカップにおけるアジアの出場枠は“4”。つまりベスト 4 進出で予選突破が決まる。逆に言えば、ベスト 8 での敗北は、チーム解散を意味することとなる。

選手たちも「負けたら終わり」という言葉は頻繁に登場した。そういうプレッシャーが自然とかかっていることが伝わってくる。

年代が下の AFC U17 アジアカップ(2023 年)で同じように“負けたら終わりの準々決勝”を経験している選手たちもいる。彼らもまた、このプレッシャーを一様に「難しい」と形容するが、同時にそれを乗り越えたことがあるタフネスも感じさせている。

「次はもう負けたら終わりだし、緊張感だったりプレッシャーだったり、いろいろあります。でも、やっぱそういう試合ができるのはサッカー選手として幸せなことだし、間違いなく成長もできる試合だと思っている」(MF 中島洋太朗/サンフレッチェ広島)

「甘い試合にはならないし、僕も U-17 の(準々決勝)オーストラリア戦を知っていますけど、あんな苦しい試合はなかったし、僕は途中から出たのにクソきつい感覚になる試合だった。強い信念を持ったチームがワールドカップに行ける。いまもワクワクしかしていない。こういう試合は楽しいですよ」(FW 高岡伶颯/日章学園高校、サウサンプトン内定)

そして忘れてはいけないのは、キツくてプレッシャーを感じるのは相手も同じということ。日本と対峙する U-20 イラン代表の面々もこの緊張感と向き合いながら試合を進めるしかない。独特の“キツさ”が試合を締め付けてくるような雰囲気は、勝てば世界大会、負ければ終わりの天国と地獄が極端に分かれる準々決勝が唯一無二だ。

イランは A 代表のアジアカップで日本に勝利しており、そのときの経験を喧伝しているとも伝わる。逆に日本は U-17 時代のアジアカップ準決勝でイランに快勝しており、当時の経験が大きな財産であり、自信の源だ。2023 年の U-17 ワールドカップでも活躍している FW エスマイル・ゴリザデを軸にしたイランの攻撃陣はかなり強力で、まずは序盤に“一発”を食らわないようにしたいところ。グループステージのシリア戦の反省は重要な材料になるだろう。

2 年前の U20 アジアカップを飛び級で経験し、この“準々決勝”を肌で感じている髙橋は、試合のポイントについて、まず精神面を強調する。

「みんながメンタルを強く持って、相手に先に点を取られても文句を言ったりするのではなく、どうやって 1 点を取るかを考える。ポジティブな考えを常に持たないといけない試合になる」

もう 1 点は試合運び。「自分は前の大会を経験していて、どんな試合になるかは分かっている」と言う髙橋は、こう続けた。

「試合の入りはシンプルにプレーし、相手に楽をさせないようなプレーをしないといけない。後ろは簡単に蹴ってもいい。その後から、だんだん自分たちのペースにすればいい。スが起こりやすい試合。最初はセーフティーにプレーして、徐々に良くなっていけばいいと思っている」

イランについて「ヒゲが生えてて強そう」と笑い飛ばした髙橋の経験もまた、この試合を助ける要素となりそうだ。

チーム結成以来最大の決戦。「延長まで見据えてメンバーを選ばないといけない」と船越優蔵監督が言うように、あるいは「こういう試合はサブの選手が重要になる」と高岡が強調したように、先発の 11 人で試合が決まることはないだろう。日本を代表し、この特別な緊張感を味わうことができる“幸せ”を体感する選手たち全員の力で、世界への扉をこじ開けに行く。

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