西武ベテラン栗山巧が語る危機感と再起への誓い
西武のベテラン栗山巧が、昨季の屈辱的な敗戦からの再起を誓います。

球団ワーストとなった昨季からの再起を誓うベテラン・栗山巧
アスリート人生は「上り坂」より「下り坂」の歩き方が難しいと言われる。円熟期を迎えたその先。体力のピークを越えてなお鍛錬を怠らず、技を磨く者だけが、悠々と「下り坂」を往き、雄大な景色を眺めることができる。
ライオンズひと筋、24 年目。栗山巧は今年、42 歳のシーズンを迎える。同期入団の「盟友」中村剛也と共に、野手としては球界最年長になった。
「僕はいいように考えてしまうんです。衰えてくる、下がってくる部分については、“足りていない”という捉え方をしています。それを補っていく、ごまかす方法はナンボでもあるやろ、って」
歳を重ねていく中で直面する「衰え」について尋ねると、そう言って瞳を輝かせた。「ただ……」。一方で口にしたのは、「心技体」のバランスの難しさだ。
「心が充実している時もあるし、体が充実している時もある。そこがアンバランスな状態だと、どこかに大きな歪みが出て、1 日、2 日は活躍できても長期的にはしんどくなってくるんです。バランスが取れた中でプレーしていくのが大切。でも、それが難しいんですよ」
“球団ワースト 91 敗”にベテランの胸中
その難しさに直面したのが昨シーズンだった。開幕から調子が上がらず、4 月 21 日に登録抹消。自分と向き合い、バッティングを一から見つめ直した。一方で栗山が抜けた一軍は 4 月だけで 17 敗を喫し、5 月に入っても低迷が続いた。
「自分が 4 月に活躍できずそうなってしまった責任も感じていて、複雑な思いで見ていました。圧倒される試合が多かった。こんなに負けてしまうのかな、そんなチームじゃないよな、って」
交流戦前に松井稼頭央監督が休養する非常事態。栗山も 6 月から一軍に復帰して再浮上に懸けたが、最後までチーム状態が上向くことはなかった。
「まだやれる、取り戻せると思っていたけれど、きっかけがつかめないままシーズンが終わってしまった。何とも言えない。ただただ申し訳ない気持ちで……」
球団ワースト記録を更新する 91 敗という屈辱。言葉をぐっと呑み込んだその姿に、「強いライオンズ」を知るベテランの悔しさが滲んでいた。