【川崎の元分析官・二階堂悠氏が語る J1 開幕節(2)】清水は攻撃陣が J1 でも武器となるが、今後の懸念は守備か。岡山は 2 人のキーマンが存在感
川崎の元分析官・二階堂悠氏が語る J1 開幕節(2)。清水エスパルスは攻撃陣が J1 でも武器となるが、今後の懸念は守備か。岡山は 2 人のキーマンが存在感を示した。

清水エスパルスの攻撃陣は J1 でも武器となる
清水エスパルスの開幕戦「スターティングメンバー布陣図」
J1 に昇格した 3 チームのうち、2 チームが勝利を手にしている。ファジアーノ岡山と清水エスパルスだ。前者は J1 初昇格で初勝利であり、後者は J1 復帰後初めての試合で勝利を収めた。
岡山について二階堂氏は「J2 で戦い抜いたチームをベースとしていて、大きくは変わっていない。木山隆之監督の下に集まった選手たちが一つになっているように見受けられる。選手が集団(一つのグループ)になるのは大きいし、その中に江坂任のような経験があって、ポイントとなる選手は入ったことが大きい」と話す。
「守備からカウンターがさえるチーム」と話す岡山の中に、「江坂のような一人、収まる選手がいると相手はすごくイヤです。江坂は技術はもちろんですが、身体能力が高いのも魅力。身長はそこまで高くないものの、ヘディングもできるし、相手が寄せてきていても胸で収めることもできる」とその特徴を挙げる。
それに加えて大きな存在を見せたのが FW ルカオ。191cm の身長と 91kg の体重ですでに規格外だが、さらにそれ以上の強さを感じさせる強さを持っており、「J1 でも上位の方にいるのでは。相手 DF をぶち抜きそうになった場面もありましたし、間違いなく岡山の武器。スタートから出ても、途中から出ても相手チームにすればイヤな存在で、まずは J1 残留を狙ううえでどう使うか、とても心強いはずです」と言う。
清水の今後の懸念は開幕戦で完封した守備か
もう一つの勝者チーム、清水エスパルスは「メンバーが変わっても“オリジナル 10”のプライドを持って戦っており、2023 年に J1 昇格プレーオフ決勝での敗戦も考慮したようなメンバー構成に見えました」。
東京ヴェルディに 1-0 で勝利したが、「勝敗を分けたのはちょっとした差。昨年、東京 V は“周囲の評判を覆してやろう”という気持ちを持って戦っているように見えましたが、昨年は 6 位という好順位になったこともあって、それも周りからの目も変化したのかなと。開幕戦に関して言えば、清水の気持ちが強いように感じましたし、その結果、得点シーンも一発をモノにした形でしたね」と振り返る。
そのゴール場面は CB の蓮川壮大から右サイドを上がった高木践にロングフィードを通したところから、北川航也がクロスを決めたもの。このゴールについて、「高木の身体能力を生かしたもので、それがあって、右サイドで起用したのでは」と推測する。
「この試合でも右サイドバックと左 CB の両方を務めていて、ベンチにさまざまな選択肢を与えたと思います。そういう選手がいることで柔軟に戦えますし、プランもさまざまに立てられる」
北川航也、乾貴士、カピシャーバ と力のある選手が前線にいることで攻撃は今後も通用すると思われるというが、懸念は守備だという。この日は完封勝利を収めたが、「ボールを保持して崩せるチームと対戦したときにどのような守備で挑むのか。開幕戦はいい方向に行きましたけど、今後の対戦相手はそこを研究してくると思います」と話す。