【リヤドダート SP】昭和の伝説が令和によみがえる 長島オーナーのガビーの血脈への執念
伝説の名牝テスコガビーの血統を受け継ぐガビーズシスターが、初の海外遠征に挑む。長島和彦オーナーの執念と夢が託されている。

昭和の伝説、テスコガビー
ちょうど 50 年前の 1975 年、1 頭の快速娘が牝馬クラシックを席巻した。関西テレビ杉本清アナウンサーの名調子が、桜花賞の大差勝ちに彩りを添えた。
テスコガビーは、オークスも 8 馬身差で圧勝。長島忠雄オーナーに同行して口取り写真に納まったのが、長男で当時中学 1 年生の長島和彦氏だった。
「人生で一番の晴れ舞台でした。今から考えてもあれ以上のことはありません。達成感に満ちた夢の舞台でした。あの感動が忘れられず、どうしても馬主になりたかったのです」。
ガビーズシスター、海外遠征へ
忠雄氏は 89 年に死去。和彦氏は社業を継ぎ、念願だった中央の馬主資格を取って今年で 6 年目になる。
先代の勝負服(黄色地に紫鋸歯形)は既に他名義で登録されていたため、袖に紫二本輪を足した。
テスコガビーは 5 歳の時に放牧先でトレーニング中に心臓まひで急死してしまったため、子供がいない。そのためテスコガビーの母キタノリュウの血を引く馬だけにこだわって探し求めた。
見いだした馬には全て「ガビーズ」の名を冠し、これまで馬名登録した 7 頭のうちの 1 頭がガビーズシスター。1 歳時にネットのサラブレッドオークションで 371 万円(税抜き)で落札した。
3 歳 1 月にデビューして階段を駆け上がると、昨年 12 月のカペラ S(G3)で重賞初制覇。ダートでは 6 戦して 5 勝、2 着 1 回と底を見せていない。
「カペラ S は負ける気がしなかった。少ない中からガビーズシスターが出てくれたのは奇跡に近い。競馬の神様が見ていてくれたのかな。競馬はドラマ、競馬はロマン。この血をつなぐのが僕の使命。古い血統でもスピードがある。キタノリュウの系統にいい種を付けて立て直したい。零細馬主ですが、やるからには競馬史に名を残したいですね。馬が勝つと多くの人を幸せにしてくれる。ガビーの血で世界に羽ばたく夢もある」。
昭和の伝説は令和によみがえり、色あせない。