【坂口正大元調教師のG1解説】クロワデュノールの勝利に学ぶ現代競馬の戦略
坂口正大元調教師が、クロワデュノールのダービー勝利を分析。現代競馬における理想の競走馬とその戦略を解説。

クロワデュノールの勝利の要因
クロワデュノールは、現代競馬における理想の競走馬としてそのセンスと戦略が際立っています。特に、位置取りの巧みさが最大の勝因でした。逃げたホウオウアートマンの1000メートル通過は1分ちょうどで、2番手サトノシャイニング以下は少し離れていました。クロワデュノールはスタートをしっかり出て、自ら好位を取りに行きました。鞍上は押すことも引くこともせず、馬自身が競馬を習得している姿に感服しました。
好位の重要性
好位につけることで、不利を受ける確率が格段に減ります。また、馬場のいいところを自由に選択できるため、今回のような良馬場発表でも水分を含むような場合は特に重要です。クロワデュノールは好位で折り合うと、じっと鞍上からのゴーサインを待ち、直線は一瞬にして抜け出しました。
北村友騎手の役割
北村友騎手の冷静なエスコートも勝利の鍵でした。皐月賞の2着は悔しかったと思いますが、敗れたことで“無敗”の重圧はなくなりました。インタビューで「馬を信じる、自分を信じる」と話していた北村騎手の実直な性格と確かな技術が、周囲から信じてもらえたことも大きかったと思います。
他の競走馬の評価
2着マスカレードボールは、もう1列前の競馬ならもっと際どかったかもしれません。外枠でしたし、自在な馬だからこその位置取りだったと思います。きっと秋に強くなる1頭です。3着ショウヘイは勝ち馬と同じく好位から上手に競馬しましたが、最後は決め手の差が出た感じです。皐月賞馬ミュージアムマイルは6着。前の馬の競馬になっただけに、中団の位置取りが響きました。