J1 開幕戦、アビスパ福岡は敗れるも金明輝監督の決意は変わらず
J1 開幕戦でアビスパ福岡は柏レイソルに敗れたが、金明輝監督はチームの準備と選手たちの頑張りを評価。過去のパワハラ問題について語り、今シーズンへの決意を明かした。

金明輝監督、J1 開幕戦敗戦の悔しさと今シーズンへの決意
2021 年以来、4 シーズンぶりに「指揮官」としてピッチに立ったアビスパ福岡の金明輝監督。試合後の会見で笑顔はなく表情は硬かった。
今季の J1 開幕戦で柏レイソルをホームに迎えた福岡。前半は何度か得点チャンスを作り出したが、0-0 で迎えた後半 30 分にカウンターから柏の DF ジエゴが抜け出し、GK をかわして先制点を決められた。後半 40 分には福岡の DF が 2 枚目のイエローカードで退場となり、数的不利のまま 0-1 で試合終了を迎えた。
「選手たちは本当にチームが準備してきたタスクをこなしてくれましたし、守備に関しては(相手に)持たれはしましたが、基本的にはしっかりとオーガナイズできていたと思います。僕のアプローチ不足というか、後半に良い入りをして我々の時間になりつつあったなかで、際のところでもろさが出てしまった」
言葉から悔しさが伝わってくるのは、チームだけでなく、監督にとっても是が非でも勝利を手にしたい試合だったからだ。
金監督は 2022 年と 2023 年に FC 町田ゼルビアでヘッドコーチを務めた。黒田剛監督の右腕として J2 優勝、昨季は J1 でも優勝争いを演じ、3 位フィニッシュに貢献した。選手への指導力を買われていただけに、黒田監督からも慰留された。
「少なくとも 3 年は(ヘッドコーチを)しないといけないんじゃないか、やり残したこともあるだろうと言われましたが、最後は自分の気持ちを伝えて、挑戦することを尊重していただきました」(金監督)
猛勉強して S 級ライセンスを取得
ただ、福岡から熱烈なオファーがあったからといって、簡単に引き受けられる状況ではなかった。今季から福岡の監督に就任することが発表されると、案の定、逆風が吹いた。過去の「パワハラ問題」が原因だ。
2021 年 12 月、サガン鳥栖の監督時代に選手やスタッフへの暴力行為や暴言などのパワハラ行為があったと認定され、翌年 1 月に契約解除された。同年に J リーグは S 級ライセンスから A 級ジェネラルコーチングライセンスへの降級処分を決めた。
それでも指導者の道から外れることはなかった。
「JFA(日本サッカー協会)はさまざまなトライアルに関しては、そういうバイアスをかけて見ないと言ってくれていました。それならチャレンジしたいという気持ちが湧いてきました」(金監督)
社会奉仕活動、研修プログラムなどを経て、2022 年から町田のヘッドコーチに就任。昨年は首位争いをするなかで、S 級ライセンス再取得に向けて、猛勉強をし直して見事に合格を勝ち取った。
「S 級ライセンスを一から努力して再取得したからと、その期間をみなさんに理解してもらいたいという表現も難しいと思います」と謙遜するが、再び J1 の舞台に立つことを思い描き、挑戦することは悪いことではない。
それでも昨年 12 月の就任会見では、「選手たちがストレスなく新シーズンを迎えることに尽きる。僕の件で選手が不安に思うところもあると思う。そうした不安を感じた選手たちが、純粋にサッカーを楽しめるように迎えられれば」と語り、その後の新体制発表会見でも、周囲への気遣いも含め、身をわきまえた発言が目立った。とにかく過去の出来事を謝り続けていた。