ジャイアンツタウンスタジアム:多摩川の風景再現と新たなる野球文化
読売巨人軍の新ファーム球場「ジャイアンツタウンスタジアム」が間近に開業。旧多摩川グラウンドの風景を再現し、土手に見立てた全長 527 メートルのコンコースを設けた。


ジャイアンツタウンスタジアム:多摩川の風景再現と新たなる野球文化
今月上旬、読売巨人軍の新ファーム球場「ジャイアンツタウンスタジアム」(東京都稲城市)が間近に開業しました。この新球場の設計を担ったのは、「日建設計」(千代田区)の高木研作さん(43 歳)です。高木さんがイメージしたのは、巨人軍の専用球場だった大田区の旧多摩川グラウンドです。人々が土手を散歩しながら選手や街並み、川を眺める。かつての風景を再現しようと、土手に見立てた全長 527 メートルのコンコースを設けました。
コンコースは 2 階部分にグラウンドを囲むように整備しました。約 4 メートルのゆったりとした幅があり、内野周辺は吹き抜けにしました。視界を遮る壁のない土手のようなコンコースを歩けば、様々な角度からプレーを楽しめます。グラウンドの反対側に広がる稲城市の街並みや多摩丘陵の自然も一望できます。
コンコースは試合などがない日は一般に開放されます。誰でも散策可能で、高木さんは「ゆっくり歩けば、1 周 10 分くらいだと思います」と話しています。
ファンの満足度を高める工夫も凝らしました。コンコースからは一塁側のブルペンと打撃練習場を見られるようにしました。2 階と 3 階の内野観客席は 4 列に絞り、「一般的な球場の最前列に近い席のみにした」という。2 階席は子ども連れでも安心して観戦できるよう、頭上を覆うように 3 階席を設け、ボールや日差し、雨をよけられるようにしました。
福岡県出身で、幼い頃から巨人軍の試合をテレビで見ていたという高木さん。2016 年に新球場の構想が発表されると、「大好きな巨人軍の施設の設計に関わりたい」と、19 年に設計の構想を提案し、採用されました。設計者として、一人の熱烈な巨人ファンとして。思いが詰まった球場の開業を心待ちにしています。
また、球場と一体になった国内初の水族館の建設も進められています。計画を主導するのは、よみうりランド取締役の北原融さん(60 歳)です。