マインツ女子監督山下喬が指摘する日本育成年代の課題

マインツ女子の監督である山下喬氏が、日本の育成年代での課題を指摘しました。

マインツ女子で指揮を執る山下喬が提言「育成年代の指導者層を強化しないと…」 マインツの選手たちが見せるトレーニングの姿勢とは【写真:Getty Images】 ドイツ・ブンデスリーガのマインツ女子で監督として指揮を執る日本人指導者の山下喬は、現在マインツ男子で活躍する佐野海舟の通訳としてもサポートしている。ほぼすべてのトレーニングに帯同しているなかで衝撃を受けたエピソードを明かし、「日本の育成年代でもっと大事にしたほうがいいところかもしれません」と持論を展開した。(取材・文=中野吉之伴/全 4 回の 4 回目) 【動画】「回収しまくってる」 マインツ佐野海舟が卓越したボール奪取の瞬間 ◇ ◇ ◇ 元日本代表 FW の岡崎慎司とドイツで設立した FC バサラ・マインツというクラブで、チームを 11 部から 6 部まで引き上げた経歴を持つ山下喬は、現在ブンデスリーガクラブのマインツで女子トップチーム監督を務めている。 女子サッカーの置かれた状況について「以前と比べて間違いなくいろんなところで改善が進んでいる」ことは評価したうえで、「まだまだいろんなところに問題があるんです」と明かしてくれた。 今シーズンから女子 U-17 ブンデスリーガが廃止になった。「全国規模でやると行動範囲も広く、お金もかかる。それだけのことをやっても、U-17 ブンデスリーガからトップチームへすぐに昇格できる選手はほとんどいない」というのが理由として挙げられている。プレー人数やチーム数も男子に比べて少ない女子サッカーでは、年代別のカテゴリーも多く持てず、育成最後のカテゴリーが U-17 で、その上は大人のチームというのが現状だ。あまりに年齢的な幅が広すぎる。 「今、U-17 女子チームは地域の U-15 男子リーグに所属しています。ただそうした環境でサッカーをしてきた彼女たちが、大人の強豪チームでサッカーをしようとしても、基本的なことが身に付いていない。育成年代の指導者層をさらに強化しないと、この問題は解決されないと思います。女子チーム自体も少ないし、そこの認知度も高くない。資質はあるんだけど、技術的にも個人/グループ戦術的にも、基本的なことを学んでない子たちがすごく多い」 ドイツ女子サッカーは発展途上であり、様々なことが整理され始めた段階だ。日本サッカー界のほうが充実している部分も多くあるだろう。その一方、サッカーへの取り組み以外で興味深い違いもある。 以前、女子バスケットボールのブンデスリーガでプレーしていた安間志織(フライブルク)にこんな話を聞いたことがある。 「例えば日本だと、バスケットボールを一生懸命やっているチームでは基本そればかりになるけど、ドイツだとチームメイトに医大に行っている子がいたり、法学を学んでいる子がいたり、政治情勢についてディスカッションしたりする子がいて驚いた。こんな環境は私の周りにはなかったなぁって」

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