清水の戦略的な守備と 4 バックと 3 バックの使い分け
清水エスパルスが国立競技場で行われた 2025 シーズンの開幕戦で、東京ヴェルディに 1-0 で勝利。秋葉監督の戦術が勝利に導いた。

清水エスパルス、完璧な守備で勝利
清水エスパルスは国立競技場で行われた 2025 シーズンの開幕戦で、東京ヴェルディに 1-0 で勝利した。3 年ぶりの J1 で、2023 シーズンの昇格プレーオフで敗れたヴェルディを相手に勝利できたことは、清水にとっていろいろな意味で価値がある。
秋葉忠宏監督の守備戦略
秋葉忠宏監督は守備に関して「パーフェクトに近い」と満足の表情を浮かべた一方で、攻撃面には自分たちが主導権を握る時間やチャンスの回数など、まだまだ課題を感じているようだ。しかし、1 つ今後の清水の戦いを示すトピックがあった。90 分での 4 バックと 3 バックの使い分けだ。
4 バックと 3 バックの使い分けのメリット
1 つのチームが複数のシステムを使い分けるメリットというのは守備面で言うと、相手の形や FW の枚数、攻撃のストロングポイントに対応しやすい方を選択して戦えることだ。
4 バックと 3 バックの使い分けの具体例
まずはスタートの 4 バック から、ヴェルディとの関係をサンプルに整理していきたい。東京ヴェルディは 3-4-2-1 なので、基本的には FW の木村勇大をセンターバックの住吉ジェラニレショーンと蓮川壮大が、2 シャドーはサイドバックと受け渡しながら、木村を追い越してくるような動きにはセンターバックも柔軟にカバーする。
清水の対応
もちろんヴェルディも、オーソドックスに 3-4-2-1 を固定してくるわけではない。たとえば組み立ての中心でもあるボランチの森田晃樹が左ウイングバックと左センターバックの間に引いてボールを受けにくるが、清水は FW の北川やトップ下の乾貴士には追わせず、ボランチのマテウス・ブエノがプレッシャーをかけに行く。それにより中盤には宇野しかいなくなるが、左サイドのカピシャーバが絞って中締めをすることで、中央で縦パスを通させないようにしていた。
清水の守備戦術
そのぶん、反対側には大きなスペースが生じるが、コンパクトな 4-4-2 を守備のベースにする清水はそこをいったん捨てて、サイドチェンジされたらスライドして対応していた。ヴェルディは左右のウイングバックを使ったワイドな攻撃をベースにしているが、ビルドアップから一番狙っているのは一発で木村や 2 シャドーを裏抜けさせる攻撃であり、清水側はセンターバックの 2 人はもちろん、左右のサイドバックも相手のブルドアップからアタッカーに裏を取らせないソリッドな守備を徹底していた。
清水の攻撃戦術
ヴェルディも清水に対して、ライン間に素早く動いて起点を作ろうとするが、清水の対応が素早く、やや無理なパスがミスになることが多かった。前半にもビルドアップのミスから自陣でヴェルディにボールを奪われて、ショートカウンターで山見にドリブルでボックス内まで侵入されるなど、危険なシーンは見られたが、守備を崩されて大きなピンチになるシーンは皆無に等しかった。